人気ブログランキング | 話題のタグを見る

写真の話し(70)

2018年10月28日。16:19。由比ヶ浜。FUJIFILM X-T2 + FUJINON XF 90mm F2 R LM WR ISO400 F2.0 1/180 AWB JPEG

写真の話し(70)_e0385941_17404960.jpg

この写真は2年前に「一人の読者との対話」に掲載しただろうか? 自分では載せた記憶なのだが、フォルダの中にあったのはレタッチもリサイズもしていない原寸サイズのファイルだった。あまり上手に撮れていないからレタッチもせず掲載もしなかったのかもしれないが、自分では掲載した記憶である。ただし、2秒ぐらいの間隔で撮った別カットがあってそちらの方を掲載した可能性が少なからずある。「一人の読者との対話」という名前のフォルダには他には原寸大のファイルは一つもないので、これは未掲載なのかもしれない。だとしたら、この写真より掲載した方の別カットの方が写りは良いはずである。写真における「2秒後」は、世界史における「2世紀後」ぐらいの違いがあるから(笑)。まあ、いずれにしろいまひとつ思ったように撮れてないことに変わりはないのでこの際どちらでも構わないことである。

こういう色合いの写真が好きなのである。つまり、西日に照らされたオレンジ色の写真が好きだと言うことである。本当は、このアングルではなく、彼女の真後ろに西日を入れて撮りたかったのだが、このカットは彼女に声を掛けて撮り始めてすぐの頃のカットだと思う。たぶん、西日をバックに撮ったカットも別にあったような気がする。どういうわけか、「一人の読者との対話」というフォルダには2年前に掲載した彼女の写真が全部収納されていないのである。私は、写真をきちんと管理していない。撮ってしまった後は半ばどうでも良いのである。まあ、他のフォルダを探せば見つかるだろうし、何れにしたところで元ファイルは残っているはずだから構わない。

レタッチしていない写真だったので極簡単にレタッチした。しかし、「コントラスト」がまったく見えない。裸眼だと作業ができないので老眼鏡を掛けてレタッチをするのだけれど、老眼鏡を掛けると「ガラス」1枚を通して観ることになるので画像の鮮明さが落ちる。私の老眼鏡のレンズのコンディションは悪くなっているのでその影響で少しコントラストが落ちる。もし、老眼鏡越しの見た目でちょうど良いコントラストにしたら自分が思うよりコントラストが強くなるだろうと思う。で、ちょっと緩めにしているのだけれど、老眼鏡を掛けて見るとどうも緩すぎるように見える。裸眼だと、画像が鮮明には見えないのだけれど、コントラストはギリギリ狙った通りではないかと思える。いや、そう見えるが少し緩いかもしれない。

正確なことは覚えていないが、彼女に声を掛けてから数分後に撮ったカットだと思う。まだ「手探り」で撮っている段階である。もっとも、夕暮れ時の海辺で女性ポートレートを真面目に撮ると言う経験は初めてだったので、「手探り」と言えば始めから終わりまで全てのカットを「手探り」で撮ったはずなのだけれど、私は熱中すると大量にアドレナリンが出るタイプなので、初めての事に挑戦しても「手探り」という意識はなくなり、さも勝手知ったることのように事に当たる。まあ、それは「勘違い」なのだけれど、そういう勘違いはプラス効果の方が大きい。しかし、このカットを撮っている頃は完全に「手探り」の段階だったと思う。写真にはっきりそれが出ている。

「写真にはっきりそれが出ている」と書いて思い至ったのであるが、彼女が写真を撮られることに心地よさを感じていることが写真にはっきり出ている。この微笑は自然な感じである。この時の彼女の「感じ」を私はまだはっきり覚えているのでそう言えるのだが、彼女はちょっと照れながらも撮られることを心地よく感じていたはずである。これは断言してもいい。女性が、本当に楽しそうにしているときというは見ていて分かるから。それくらいのことが瞬時に正確にわからないようでは女性にもてない。私は「女心」を理解することに掛けてはスペシャリストなのである(笑)。

結局そういうことなのだ。私は出逢って5分後には彼女に強く魅了されていたし、彼女は、戸惑いを抱きつつも「撮られる」ことに心地よさを覚えていたのである。だから、このあと一緒に食事をしたときに「写真を教えて下さい」と言ってくれたのである。彼女が写真を教えて貰おうと思った最大の動機は、私に撮って貰った自分の写真をとても気に入ったからに他ならない。自分を素敵に撮ってくれない「フォトグラファー」から誰が写真を教わりたいと思うだろうか? 彼女はまだ二十歳を少し超えたばかりの「女の子」なのである。いや、40歳を超えた女性の「女心」だって全く同じであろう。自分がとても輝いて素敵に撮ってもらえたら、それを撮ったカメラマンに対して小さくない好意を覚えることは自然な事である。有名女優や歌手が自分より「格下」のカメラマンと結婚している例が割とあるが、女性は自分を美しく撮ってくれる男に少なからず心を許すのだと思う。腕利きのフォトグラファーは、一部の女性から見るととても魅力的に見えるはずだ。女優とか歌手を射止めている写真家って、たしか結構いたよね。

「写真を教えて下さい」と頼まれたことが私にとってもの凄く嬉しかったことであったのと同じように、「君を撮らせて欲しい」と頼まれた彼女は、そのことをとても嬉しく思ったはずだ。そういう「前提」があったから、彼女は迷い悩みながらも京都旅行に同行してくれたのだと思う。私たちは、互いに「満たし合える」部分を少なからず持った関係だったのである。そのことは京都で明確となった。我々は、会うのが二度目だとは信じられないくらい互いに打ち解けて楽しい時間を過ごしたのである。

(つづく) 2,266文字

この先どんな話しになるか凄く楽しみだ。私自身続きにどんな話しが出てくるのか全く分からないから(笑)。文章を書くって、そういう事なんだ。それは、自分の気持ちを豊かにする行為なのである。眠り掛けている感性や欲望を揺すり起こしてくれる営為なのである。


by LUZeSOMBRA | 2020-11-08 12:00 | 写真の話し

モノクロ写真のアルバム

by LUZeSOMBRA
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31