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撮影に「3秒」掛けたらそれは”スナップ”ではない

「AWB」だとあまりに色温度が高いので「日陰」で現像しているが、それでも「色被り」がかなり残っている。ケルビン値をもっと上げれば実際の見た目に近くなるが、「夕暮れ感」を出すという意味からも「色被り」を残した方が面白いと思う。「AWB」は当てにならないし、「発色」にも難があるが、ときどきα7Ⅲの出す絵に魅力を覚えることもある。フルサイズセンサー故のことだと思う。

2021年6月13日。19:14。茅野市玉川。SONY α7Ⅲ + Carl Zeiss Distagon FE 35mm F1.4 ZA ISO4000 F4 1/40 AWB

撮影に「3秒」掛けたらそれは”スナップ”ではない_e0385941_15383386.jpg

一言で「スナップ」と言っても、どういう写真を撮っているかは人それぞれ”千差万別”である。そもそも「スナップ」という言葉は「撮影スタイル」を指しているのであって、「何を撮るか」と言うこととは関係ないのである。数年前に別のブログで一度引用したことがあるが、「スナップ」という言葉を辞書で引くとつぎのように説明されている。

スナップショットともいう。 日常の中で、目の前の光景や出来事、人物などを一瞬のうちに素早く撮影する撮影技法、またはそうして撮られた写真のこと。狩猟用語にある不意に飛び立つ鳥などを銃で早撃ちする技術「スナップ・ショット」からの転用といわれ、snapには「(機会などに)飛びつく」という意味もある。

この説明によれば、スナップと言う定義にとって"本質的”な点は「一瞬のうちに素早く撮影する」ことだと言うことになる。「不意に飛び立つ鳥などを銃で早撃ちする技術」が「スナップ・ショット」なのだから。そうなると、私が撮っている写真のほとんどは「スナップショット」である。ほとんどの写真は「一瞬のうちに素早く撮影」しているから。私の場合、「3秒」掛けたらそれは「ジックリ撮影」したうちに入る。何度も書いたことであるが、「構図」なんて「考え」ない。そんなものは「一瞬」の内に「決まる」ことだと思う。極論すれば、そのとき使うレンズを決めたら、その日の「構図」は決まったも同然なのである。スナップをしている際には、常に手にしている「レンズ」の「画角」で世界を見ているのだから。もちろん、すぐには決まらないこともある。そんなときにはじっくりと「3〜4秒」掛けて「構図」を整えて撮影している。しかし、控えめに言っても80%の写真は1〜2秒で撮っている。

「スナップ」という言葉の「定義」には「何を撮るか」は含まれない。「一瞬のうちに素早く撮影する」ことこそが「スナップ・ショット」なのである。3秒も考えていたら「不意に飛び立つ鳥」を打ち逃がしてしまう。3秒も掛けたらそれは「スナップ・ショット」ではないと言っても過言では無い。実際、街中での「キャンディッド・フォト」などは3秒もモタモタしていたら「撮り逃す」。0.5秒でシャッターチャンスは失われる。だから、「構図」なんてものを考えて撮影している人間は「スナップ」していないのである。森山大道さんの撮影スタイルこそが「スナップ」なのだと思う。実際に見たことはないけれど、相当ハイテンポでバシャバシャと撮っているそうだ。もちろん、何も考えずに撮っている訳ではない。「被写体」に近づく前に考え終わっていると言うことなのである。

もう一点。恐らく、同じ「被写体」を近づく手前から3枚も4枚も撮ると言うことをするのだと思う。目の前に立って撮ったら、ちょっとレンズのアングルを変えて撮り、立ち去り際に振り向いて撮ったりもしているのだと思う。そうやって、沢山撮っておいて、「セレクト」で写真を「完成」させていっているのだと思う(全部想像だが、多分当たっているだろう)。

私はそういう撮り方をほとんどしない。昔は、立ち止まったあとにアングルを変えて2枚3枚撮ると言うことをすることもあったが、段々そういうことをしなくなり、近年は1枚撮ったら歩き出すというスタイルになった。そうなった理由は簡単で、「よりよい写真を撮ろう」という気持ちが無いからである。いまの私は、歩きながらただ機械的にシャッターボタンを押しているだけである。

14日の夕刻に、「望岳の湯」の周りをウォーキングしながら1時間で「191枚」もの写真を撮った。どうしてそんなに数が多くなったかというと、近づいていく段階で1枚撮り、目の前に行って1枚撮り、アングルを変えて1枚撮り、立ち去り際に振り向いてまた1枚撮るというような撮影スタイルで撮ったからである。全部が全部そういう撮り方をしたわけではないが、目に止まった一つの被写体を2枚3枚撮ることが多かった。そして、時には4枚撮った。そういうことをやったのは相当久しぶりのことである。やってみて思ったのは、「構図」なんか考えるより、そういう風にドンドン撮っておいてあとから「セレクト」した方が「様になる写真」の数が増えると言うことである。「数」が「質」を生むのである。

ただし、「風景写真」の場合は事情が異なると思う。風景写真の場合は、三脚を立てて「じっっくり」時間を掛けて撮影した方がより良い写真を撮ることが出来るだろうと思う。風景写真は「スナップ」スタイルは合わないだろう。もっとも"スピーディー”さが求められるのは「キャンディッド・フォト」である。だから、「キャンディッド・フォト」を撮るのが一番面白く感じるのだと思う。それは「ハンティング」だから(笑)。

「スナップ」って「ハンティング」なんだよね。

「スナッパー」に「レンジファインダーカメラ」愛用者が多いのには理由がある。「ピント合わせ」をしないで済むことと(絞っている)、「素通し」のファインダーを通しての撮影は「肉眼」で撮影している感覚に近いからである。そして、一眼レフと違い「ブライトフレーム」は当てにならないのだから、「構図」と言うことに対してあらかじめ「アバウト」にしか考えていない。これらの「特徴」はすべて「一瞬のうちに素早く撮影する」ことに向いている。レンジファインダーカメラを使って、「じっくり撮っている」というのは「間違い」である。絞りを開けての撮影には「一眼レフカメラ」の方が向いている。


by LUZeSOMBRA | 2021-06-16 17:00 | snapshot

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